恥じる。
 
 
 
■ 先日、古い知人と会った。
 彼は学生時代、酒を飲んで階段から落ち、間脳を破壊されたが一命を取り留めた。
 地方では名の通った大学を母親におんぶされながら卒業した。
 大崎のホテルに来ているというので、夜の十時にロビーに出かけた。
 
 
 
■ 職場の旅行であったので、役場の職員が沢山列挙していた。
 車椅子でエレベーターから降りてくる。
 彼の部屋へゆき、ツインのベツトに腰掛けて与太話をした。
 時折、部屋の相方が覗きにくる。
 頭を下げていると、廊下で、
「こんなになっちゃって、可哀想でさ。明日も来てくださいよ」
 と、言う。
 相方は酔っていたが口調に微妙な滓が残っていた。
 分からないでもないが、眉毛の動きが好きではなかった。
 
 
 
■ 帰り道、私は五反田で牛丼を食べた。
 外国人の店員が慣れた口調で注文を取り、仕事帰りの外国の女性も何人か居た。
 何に恥じれば良いのだろう。
 着ていった背広だろうか。